生活習慣病の原因と予防法
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がんも生活習慣病の一つ。危険因子は

がんとはこんな病気

 私たちの体の正常な細胞は分裂・増殖と、プログラムされた「細胞死」や「細胞分裂停止」を繰り返し、増え過ぎないように制御されながら働いています。

 ところがこの正常な細胞が、遺伝子の変化によって異常に増殖を始めることがあります。この結果起こる病気ががんです。

 人体には60兆個の細胞があるといわれますが、がんはこの中のたった1個の細胞が変化し、増殖し続けることから始まります。増殖し続けたこの細胞はやがて肉眼でも見えるほどの大きな塊(腫瘍)を作ります。腫瘍は小さなものでも100万個以上に増殖した細胞の集まりです。この腫瘍は最初のうちは悪性ではありませんが、さまざまな段階を経て悪性化していきます。

●良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

 悪性の腫瘍には、良性の腫瘍にはない次のような特性があります。
 @自分勝手に増殖を続けて、その増殖は止まることがない(自律増殖)。
 A周囲の正常な細胞に染み出るように広がり(浸潤)、組織を破壊する。
 B体のあちこちに飛び火する(転移)。
 C正常な組織が摂ろうとする栄養を奪って増殖し、生体を消耗させる。

●がんの種類

 がんは全身のあらゆる臓器や組織から発生します。がんの姿、形もさまざまであり、転移しやすいものやほとんど転移しないものなど性質もさまざまです。

 がんは大きく造血器由来、上皮細胞由来、肉腫(非上皮細胞由来)の3つに分類されます。
 @造血器由来……白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫など
 A上皮細胞由来……肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、肝臓がんなど
 B肉腫(非上皮細胞由来)……骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫など

がんになる危険因子

 がんを引き起こす危険因子には次のようなものがあります。

●遺伝的要因(家族歴)

 乳がん、子宮がん、大腸がんなどは、リスクの高い遺伝子を受け継ぐことがあります。遺伝的要因と、家族に共通する環境が影響し合って、発がんを促すと考えられます。

●年齢

 日本では40歳を過ぎるとがんの発症率は急に高まります。高齢になるほど、長期間、発がん物質にさらされることに加えて、免疫力の低下などが影響していると考えられています。

●環境的要因

 化学物質を扱う工場での労働者や、周辺地域の住民、産業廃棄物による環境汚染などが、がんのリスクとなっています。発がん性があるとわかっている化学物質や、発がん性が疑われる物質はたくさんありますが、アスベスト(石綿)はその中でも強力な発がん物質です。家族の服などから間接的に吸引しただけでも、肺がんや中皮腫になった例が数多くあります。
 このほか特殊な環境として、原子力発電所の事故による被ばくがあります。

●放射線・紫外線

 日光の紫外線を浴び過ぎると皮膚がんになるリスクが高まります。

●喫煙

 たばこの煙に多くの発がん物質が含まれ、肺がんはもちろんのこと、喉頭がん、口腔がん、咽頭がん、食道がんなどのリスクをかなり高めます。

●食事

 塩分と胃がん、肉類と大腸がん、アルコールと食道がんの関係に見られるように、特定の食品が過剰になるとがんを引き起こします。また、バランスを欠いた食生活はがんのリスクを高めると考えられています。食品はリスクの側面と、予防の側面を併せ持っています。

●病原微生物

 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは肝臓がんの原因になるとされています。また、へリコバクター・ピロリ菌は胃がんのリスクを高めます。そのほかヒトのレトロウイルスなど数種類のウイルスが、発がんとの関係を疑われています。

●炎症的疾患

 潰瘍性大腸炎が続くと、大腸がんになることがあります。そのほか寄生虫の感染によって炎症を起こし、がんが引き起こされることもあります。炎症を放置するのは危険です。

●強いストレス

 肉体的・精神的に強いストレスが続くと、免疫力の低下を招き、がんを含むさまざまな病気へのリスクが高まります。

 以上のうち、喫煙や食事など生活習慣にかかわる原因は特にウエイトが高く、注意が必要です。

喫煙のがんへの寄与率は30%

 日本では、がんに関するたばこのリスクを軽く見る風潮があります。
 ハーバード大学が1996年に調べた「がんの要因別寄与割合」によると、「喫煙」と「成人期の食事と肥満」がそれぞれ30%ずつで1位となっています。寄与割合の2番手グループに「運動不足」「職業性の要因」「がん家族歴」「ウイルスなどの感染」などが5%で続いています。

 別の調査(Doll博士らの研究)でも食物35%、たばこ30%という数字が出ています。ちなみに一部で騒がれている食品添加物は、どちらの調査でも1%程度の寄与率とされています。

 実際に喫煙者はどれくらいがんにかかっているのでしょうか? 国立がんセンターが1987年に調べたデータによると、非喫煙者を1としたときの喫煙者のがんによる死亡比は次のようになっています。男性のみ倍率を書き出してみました。

@喉頭がん 32.50倍    A肺がん   4.45倍   B咽頭がん   3.29倍
C口腔がん  2.85倍    D食道がん  2.24倍   E全部位のがん 1.65倍
F膀胱がん  1.61倍    Gすい臓がん 1.56倍

 また、たばこの本数でいえば、吸うか吸わないかで大きな違いがありますが、さらに1日20本以上と60本以上のところでリスクは大きく跳ね上がります。まさに、がんは生活習慣病だということをこの数字は物語っています。

食事とがん

 喫煙と並んでがんへの寄与率の高い生活習慣に食事があります。ひと頃、食品中の発がん物質がずいぶん騒がれたことがありましたが、ここでいう食事は残留農薬や食品添加物と別扱いです。添加物に関しては、適切な基準があり、それが守られていれば害にならないというのが、世界がん研究基金の見解です。

 食事におけるリスクを解消するためには、バランスよく多種類の食品を摂ることが大切です。また過食を避け、野菜や果物を意識して多めにとること、肉類を少なくし、魚介類や豆類をしっかり摂ることも大切です。

●食塩

 食塩は発がん物質ではありませんが、多く摂ると胃壁を傷つけやすく、発がん物質によってがん化しやすくなります。食塩は特に胃がんのリスクを高めます。望ましい塩分量1日10g以下を守りましょう。

●肉類

 脂肪の多い肉類は大腸がんのリスクを高めます。また、リスクを高める可能性があるとされるものに、すい臓がん、乳がん、前立腺がん、腎臓がんがあります。適度に魚や鶏肉を摂って、牛肉や豚肉を減らしましょう。

●野菜・果物

 がんを防ぐために欠かせない食品です。野菜・果物は口腔がん、咽頭がん、食道がん、肺がん、胃がん、すい臓がん、大腸がん、乳がん、膀胱がんなどになるリスクを下げます。また、がん全般のリスクを下げる可能性があるとされています。

●過食・肥満

 肥満はがんにとっても大敵です。乳がん、子宮ガン、腎臓がんのリスクを上昇させるほか、大腸がんにもその可能性があるとされています。

●アルコール

 少量のお酒は動脈硬化を抑え、寿命を延ばすことがわかっていますが、がんに関しては「少量なら飲むほうがよい」ということにはなりません。アルコールでリスクの高まるがんは、口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんなどです。

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