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免疫力とは? 免疫力低下の原因

 白血球の種類と役割分担   免疫環境と支持組織   賢い免疫   免疫力を低下させるもの

免疫力とは何か

 同じ病気にかかり、同じ治療を受けても、早く治る人となかなか治らない人がいます。これは体の自然治癒力の違い、つまり免疫力の差が出ていると考えられます。

 免疫力は病気を治す力だけではありません。たとえば、仕事で深夜まで残業が続いたとか、寒風にさらされて寒い思いをしたとか、そんなあとに風邪を引いたり、過労で倒れたりすることがよくありますが、これも免疫力の低下によるものです。免疫力があれば、同じ環境でも病気を跳ねのけることができます。病気になる前に、何らかの異変に体が気づき、病魔と闘ってくれるのも免疫なのです。

 外的から身を守る第一のとりでは皮膚です。私たちの全身を包む皮膚は、4週間ごとに新しい細胞に生まれ変わり、傷ついた表皮があればそれを元の状態に修復する力を持っています。これが皮膚の免疫力です。

 また、食事や呼吸などを通じて外部から侵入した細菌やウイルス、汚染物質などの異物に対しては、血液中の白血球がそれを認識し、組織的に戦います。白血球は数種類のさまざまな特徴をもった細胞があり、チームプレーで病気を防ぎますが、免疫力の主役はこの白血球チームで、免疫系と呼ばれます。

白血球の種類と役割分担

 白血球は骨髄で産生され、全身の血管を巡りながらパトロールをします。血液中の白血球は、大きく分けるとマクロファージ、顆粒球、リンパ球の3つがあり、リンパ球にはさらにT細胞、B細胞、NK細胞をはじめ、さまざまな種類の細胞があります。

●マクロファージ

 侵入してきた異物に対してアメーバーのように動いて捕らえたり、偵察をします。

●顆粒球

 細菌などの比較的大きな敵に対して攻撃力を発揮します。

●リンパ球

 マクロファージや顆粒球が見逃した異物を攻撃します。異物の種類や攻撃方法によってさまざまな細胞の役割分担があり、チームプレーで異物を退治します。

・T細胞……ヘルパーT1型とヘルパーT2型細胞、キラーT細胞などがあり、いろいろな外的に対して攻撃します。
・B細胞……抗体を作って異物の働きを抑えます。この細胞の働きが過剰になると、アレルギー症状を起こします。
・NK細胞……特にがん細胞に対して強い攻撃力をもつ細胞です。

免疫環境と支持組織

 免疫系といわれる白血球チームは、外的から体を守る主役ですが、そのほかにも免疫力をもった組織が全身に張り巡らされています。

 まずは直接外界と接している皮膚や目、そして外部と内部をつないでいる鼻やのどの粘膜が、前線で異物の侵入を防ぎます。それでも侵入に成功した細菌やウイルスに対しては、肺、胃腸、肝臓、腎臓などの臓器が免疫力を働かせます。さらに、血管やリンパ、神経などの組織も免疫力をもち、体全体が免疫環境を形作っています。

 これらの免疫環境のどこかの抵抗力が低下すると、細菌やウイルスに侵され、病気になります。免疫力低下の原因は食生活が最も大きい要因と考えられていますが、そのほかに加齢、肉体的疲労、精神的ストレス、汚染物質などが深く関っています。

 なお前述の、白血球以外の免疫力を働かせる組織や器官は、支持組織と呼ばれています。支持組織の中で最も重要なのは、毎日の食事にかかわる胃腸です。特に腸内には善玉菌といわれるさまざまな乳酸菌や、体に害を及ぼす悪玉菌が無数にいます。食品中の栄養素と毒素を選り分けて必要なもののみを吸収し、不要なものを排泄するのも腸の仕事です。これが狂うとさまざまな病気を招きます。

 たとえば、便秘症の人は腸が毒素を吸収しやすく、結果的に肌の吹き出物という形になって現れます。これは「白血球が弱って、免疫力が落ちていますよ」という体のサインでもあるのです。

 解毒作用では肝臓や腎臓が重要な支持組織であり、アルコールや食品添加物、薬物などの害から体を守っています。しかし、毒物が処理能力を上回ると支持組織そのものが病に侵されることになります。

賢い免疫

 免疫は想像以上に賢いシステムで、不思議ともいっていいくらい精巧な働きをします。その第一は、非自己と自己を厳密に識別することです。自分の体には反応しません。ただし、アレルギーなどの免疫疾患になると、自己の生み出した抗体が自分自身を傷つけます。

 第二は危険なものと安全なものを識別することです。病原菌は排除しようとしますが、有益な腸内細菌とは共生を図ります。

 第三は侵入者(抗原)の種類に厳密に対応して抗体を作り、それを記憶します。次に同じ侵入者がやってくれば、それぞれの敵に合わせた抗体が応答します。また敵が多ければ、それに合わせた攻撃要員(細胞)を増やします。

 これらの働きは、厳密に役割分担されたさまざまな種類の白血球が、協力し合いながら行います。まさに大脳に匹敵するといってもいいくらい精巧なシステムです。

 ただし、この免疫システムにも弱点もあります。それは免疫遺伝子に左右されることです。特定の病原菌やがんにかかりやすい人がいたり、抵抗力の強い人がいたりします。個人によってばらつきがあることは、種の保存にとっては合理的ではあるのですが……。

免疫力を低下させるもの

食事のバランスの崩れ

 免疫を低下させる最も大きな要因としては食生活があります。現代の日本では通常ありえませんが、体を維持していく最低限度のエネルギーやアミノ酸などの各種栄養素が不足している場合は、免疫力が低下します。また、栄養バランスが悪い場合、特に免疫力の維持に不可欠なビタミン、ミネラルの摂取不足は、免疫力を低下させます。逆に脂肪の摂り過ぎや肥満も、免疫力にとってよくありません。

 毎日の食事では良質のたんぱく質と適切なエネルギー摂取、および五大栄養素や食物繊維のバランスに気をつけることが肝要です。

 食事以外に免疫力を低下させるものとしては、加齢、ストレス、環境汚染などがあります。

20歳前後から落ち続ける免疫力

 生まれたばかりの赤ちゃんは免疫力が極めて弱く、母乳によって母親から免疫力を補います。成長とともに免疫力がついてきて、20才前後で免疫力は最高に達します。その後は徐々に免疫力が低くなり、高齢になると免疫力はかなり落ち、各種感染症をはじめがんなどにかかりやすくなります。

 日本人の死因では第4位に肺炎が入っていますが、これは抵抗力の落ちた高齢の感染者に死者が集中しているためで、平均寿命の延びと関係しています。

 また、O-157大腸菌による集団感染事件においても、高齢者に犠牲者が集中しましたが、これも加齢と免疫力低下の相関関係を表しているといえるでしょう。

 老人施設などでのノロウイルスによる死亡事件もありましたが、通常は命を落とすような食中毒ではないにもかかわらず、高齢者が亡くなっています。

 加齢による衰えは、筋力や歯などの目に見える部分だけでなく、免疫力という目に見えない能力にまで及びますから、本人はもちろん、周囲も十分にそれを認識する必要があります。

精神的ストレス

 「病は気から」という言葉があります。東洋医学でははるか大昔から、精神的なストレスと病気との関係を見抜いていました。

 近年、西洋医学でもストレスと免疫力低下の関係について、それを実証する多くの研究が積み重ねられ、いまやストレスが免疫力の低下をもたらすことは常識になりつつあります。

 そのメカニズムは、気分が落ち込んだり、強いストレスを受けたりすると、神経系の細胞が免疫系の働きを抑える物質を放出して、病原菌やウイルスに弱い状態にを作るためです。病気でくよくよすると、直りが悪く、また悪化することがあるのも、心のあり方が免疫系に影響するためです。できるだけものごとを楽天的に考えることが、免疫力の低下を防ぎます。

肉体的ストレス

 仕事やスポーツなどで肉体を酷使し、疲労がたまると当然ながら免疫力は低下します。自分では元気なつもりで頑張り過ぎ、倒れるまで働くサラリーマンの姿は他人ごとではありません。時には過労死ということもありますから、適度な休息を取るようにしましょう。

 睡眠不足も免疫力を低下させます。免疫力が強い人はよく眠れ、免疫力が低下すると眠れなくなる傾向がありますから、睡眠不足は悪循環になるおそれがあります。極度の興奮や肉体的疲労、ストレスを避け、規則正しい生活を送ることです。

 睡眠障害の改善には、体内時計の狂いを調整する必要があります。朝の太陽の光が体内時計の調整に働いていますから、まずは睡眠不足でも朝決まった時間に起きることは大切です。また、就寝前に興奮するような活動をしないことや、夜食を食べないことです。胃にも体内時計があるといわれ、夜遅くの食事は就寝体勢に入りつつある体を再び活発化するからです。また、寝る前の食事は吸収がよいため、肥満の原因ともなります。

 体を冷やすことも、血液の流れを悪くし、またリンパ球の働きを悪くしますから、全身の免疫力を低下させることになります。特に男性よりも皮下脂肪の多い女性は冷え性になりやすく、注意が必要です。

 肉体的ストレスには、指圧やマッサージ、ストレッチなどで体をよくもみほぐし、入浴で全身を温めて、血行をよくすることが効果的です。ちょっとした疲れを感じたら、それを軽視せず、十分な休息と体のケアをしましょう。

環境汚染

 産業革命以来、科学の発達は目覚しく、当時の人たちには想像を絶する便利さを私たちにもたらしました。それと同時に人類は、地球上にはもともと存在しないおびただしい数の人工的物質を撒き散らしました。たとえばプラスチック類や塗料、洗剤、化学工業用の触媒、除草剤、殺虫剤などの物質です。

 これらは河川や土壌、海などを汚染し、自然界の食物連鎖によって私たちの口に入ったり、環境ホルモン(外因性内分泌撹乱化学物質)として、生物にさまざまな影響を与えたりしています。大気汚染も含めて、化学物質は現代人の免疫力を低下させています

 また、食品添加物の合成着色料や保存料、防カビ剤、酸化防止剤なども、「一生食べ続けても安全」とされるものだけが認可されているとはいえ、発がんなどの直接的なリスクの有無は別にしても、肝臓への負担や免疫力への影響が考えられます。

 着色料や発色剤は売る側のメリットしかありませんが、保存料、防カビ剤、酸化防止剤などには消費者の側にもメリットがあります。それと免疫力低下のデメリットをどうはかりにかけるかですが、現代の日本ではこれらをまったく避けることはできず、できるだけ少なめにとるということを心がけるのがよいでしょう。

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