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肥満の意味ではないメタボリック症候群

メタボは肥満ではなく代謝の意味。心臓病や脳卒中のリスクを高める

 近年、メタボリック・シンドローム(症候群)という言葉がよく使われるようになりました。これは特定の病気のことを指すのではなく、「一つひとつは病気ではなくても、3つ合わせると病気」という状態のことをいいます。
 
 生活習慣病の中でも症状がなく軽視されがちな、肥満、高血糖、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、高血圧のうち、3つ以上が重なった場合に、相乗的に動脈硬化が進む危険性が高いということでメタボリック症候群と診断されます。

 メタボリック・シンドロームは「代謝異常」と訳されますが、その名のとおり、糖代謝や脂質代謝などさまざまな代謝異常があることがわかってきました。アメリカでは人口の22%がメタボリック症候群といわれ、年齢が上がるにつれて、40代男性は4人に1人、50代では男女とも3人に1人、60代では2人に1人というように比率が上昇しています(2002年米国防疫センター発表)

 日本でも40歳以上の男性の4人に1人がメタボリック症候群と推定されています。これらの人は虚血性心疾患(心臓病)や脳血管疾患(脳卒中)にかかるリスクが高いので、自覚症状がなくとも治療しなければなりません。

メタボリック・シンドロームの診断基準

 メタボリック・シンドロームの診断基準はWHOやアメリカなどで数値は少しずつ違います。日本では内科学会など8つの学会が日本人用に基準を作っています。

 それによれば、まず必須項目としてウエスト周囲径(腹囲)が男性85cm以上、女性で90cm以上あることが条件になっています。それに加えて、高中性脂肪、低HDLコレステロール、高血圧、高血糖のうちの2項目以上が該当する場合をメタボリック症候群としています。

 (必須条件)

 ・腹 囲  男性85cm、女性90cm以上
 プラス 以下の3項目のうち2項目以上
 ・最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上
 ・中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満
 ・血糖値110mg/dL以上。

 なお、腹囲の基準については、異を唱える専門家もいます。日本では「メタボ」というと腹囲のみが強調されすぎ、数字が一人歩きしている傾向がありますが、メタボ本来の代謝異常(検査値)に注意を払うべきでしょう。

 また現在、欧米では腹囲(肥満)の数値を必須条件とはしていません。日本でも「やせていてもメタボ」の考えに変わってきています。「肥満でなければ大丈夫」とは言えないということです。

少なくない「隠れメタボ」

 近年は腹囲が基準に満たなくても、高血圧や高血糖などで脳卒中などのリスクが高まることがわかってきました。そのため、「隠れメタボ」ということばも生まれたほどです。実際、腹囲が大きくなくても発症した人の数は、”正式のメタボ”に比べてあまり差がないようです。

 国際糖尿病連合などではすでに、「腹囲を必要条件としない」という世界基準を作っています。

内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満

 肥満には内臓脂肪型と皮下脂肪型がありますが、メタボの判定法では体重ではなくウエスト周囲径を測ります。これは内臓脂肪型が危険とみなしているためで、内臓脂肪が増加すると糖の取り込み能力が低下して、糖代謝に必要なインスリンが十分に働かなくなるのです。

 内臓脂肪型は一見太って見えない場合もあります。いわゆる「リンゴ型」の体型で、お腹の皮が薄く、内臓周りに脂肪がつくのです。一方皮下脂肪型は「洋ナシ型」といわれ、下腹部から腰周り、お尻やももに脂肪がつくタイプです。危険は少なく、良性の肥満といえるでしょう。女性は男性よりも皮下脂肪が多くつくようになっています。もちろん乳房も皮下脂肪です。

 なお、上のウエスト周囲径の基準は簡便なもので、身長の高低によって見方が変わるのは当然のことです。身長を考慮した目安としては、ウエスト÷身長=0.5以上の場合に内臓脂肪型肥満の可能性が高いといわれています。

やせているほうが危険? 「メタボ=肥満」の落とし穴

高血圧・高血糖の方はやせているほうがリスクが高いという研究も

 日本では「肥満=メタボ」のイメージがすっかり定着しており、「やせていれば心臓病や脳卒中にはならない」と安心している方が多いようです。それは、メタボという言葉が一般に浸透した頃、メタボ診断基準に肥満(ウエスト・サイズ)を必須条件にしてからです。血圧と血糖値の値が高くても、肥満でなければメタボではない。そう思っている方は今でもかなり多いのではないでしょうか。

 そんな日本でも、これまでの肥満重視に偏ったメタボ診断基準を覆す統計的な研究結果が、数年前から出始めました。肥満体(BMI25以上)の人とそうではない人とを比べてみると、他の危険要因が高い場合、肥満傾向にないグループのほうが循環器病で死亡する倍率が高かったのです(厚生労働省研究班調査/2007年発表)。体質的に高血糖や高血圧などを起しやすい人は、やせていても心臓病や脳卒中になりやすく、むしろ肥満体の人よりもリスクが高い可能性があるようです。

 しかし、ひとたび「メタボ=肥満」の図式がマスメディアによって脳にインプットされると、なかなか世間一般のイメージは修正されません。太っていなければ安心…この誤まった考えがこそが病気のリスクを高めるのだということを、一人でも多くの方に知ってもらいたいものです。

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