生活習慣病の原因と予防法
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糖尿病は万病の元
がん、心筋梗塞、脳梗塞などのリスク増大

 糖尿病はひと言でいうと、ブドウ糖が細胞の中に運ばれなくなって、血液中にあふれてしまう病気です。糖尿病が怖いのは、昔から言われる「三大合併症」だけでなく、がんや心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まることです。

高血糖の状態が糖尿病。症状が出てからでは遅い

 私たちの体を構成する細胞は、糖質(炭水化物)が体内で分解されてできたブドウ糖をエネルギー源として取り込んで利用しています。そのとき、ブドウ糖を活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンに変えて貯蔵したりする役割を担っているのが、すい臓から分泌されるインスリンです。

 インスリンは体内で唯一、血糖を下げるホルモンです。そのインスリンが不足したり、十分に作用しなくなると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込めなくなって、血糖値が上がります。細胞にブドウ糖が十分に供給されなくなり、筋肉や内臓がエネルギー不足になる状態が糖尿病です。

 なお、病名のように尿に糖が出るのはかなり糖尿病が進行している状態で、本来は高血糖の状態が糖尿病です。ほとんどの場合、高血糖の状態になっても症状が出ないので、健康診断などで早い段階で発見することが大切です。

 糖尿病の主な症状は、のどが渇く、尿の量や回数が増える、倦怠感や疲労感がある、空腹感が増す、体重が減少するなどです。糖尿病には肥満のイメージがありますが、これは原因に過ぎず、病状が進むと逆に体重が減少してきます。

糖尿病の種類と原因

 糖尿病にはT型糖尿病とU型糖尿病の2種類があり、原因が異なります。

 T型糖尿病は、すい臓の異常によりインスリンを作るβ細胞が破壊されて、インスリンの量が足りなくなるために起こります。「インスリン依存型」とも呼ばれ、子供のうちに起こることが多いのが特徴です。そのためかつては「若年性糖尿病」とも呼ばれました。

 U型糖尿病は、インスリンの量が少なくなったり、インスリンの働きそのものが悪くなったりして、ブドウ糖がうまく取り入れられなくて起こるものです。このタイプは、食生活の乱れや過食、運動不足、それらの結果としての肥満、およびストレスなどが関係することが多く、典型的な生活習慣病です。日本人のかかる糖尿病の95%はこのU型糖尿病です。

 このほかに妊娠糖尿病や、他の病気が原因で引き起こされる糖尿病もあります。

怖い3大合併症とアルツハイマー、ガン、心筋梗塞、脳梗塞

 糖尿病は放置しておくと、神経障害、網膜症、腎症などの合併症になります。かつてはこの3つを3大合併症といいましたが、今では糖尿病及びその予備軍の人は、がんや心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まるばかりでなく、アルツハイマーになる危険性も4.6倍も高くなり、万病の元といわれるようになりました。
 次に、糖尿病が引き起こすさまざまな合併症や怖い生活習慣病について説明します。

●神経障害

 神経障害といっても精神科の病気ではありません。末梢神経障害自律神経障害です。
高血糖の状態が続くと、神経細胞の中にブドウ糖が入って神経の働きを阻害します。これが末梢神経障害で、手足がしびれたり痛んだりする、安静時に足がつる、手足がほてったり冷たく感じたりする、などの症状が現れます。
 内臓などをコントロールしている自律神経がやられるのが自律神経障害です。立ちくらみ、顔面神経麻痺、しびれ、痛み、こむら返りなどの症状が現れます。
 3大合併症の中では神経障害が最も発症頻度が高いといわれます。

●網膜症

 眼底にある網膜の毛細血管が冒されると、網膜症や白内障が発症します。目がかすむので眼科にかかり、初めて糖尿病が発見される場合もあります。失明することもあり、わが国の失明原因の第1位は糖尿病網膜症となっています。

●腎症

 糖尿病に特有の血管障害が腎臓の糸球体を中心に起こり、血管からたんぱくが漏れ出る病変で、たんぱく尿が出るのがシグナルです。腎障害が進むとむくみや貧血、倦怠感が現れ、さらに悪化すると腎不全・尿毒症になってしまいます。

●動脈硬化

 3大合併症よりもむしろこちらのほうが直接、命に関る心筋梗塞や脳梗塞を招きますから、恐ろしい合併症といえます。動脈硬化の3分の1に糖尿病があるといわれます。

●アルツハイマー

 九州大の「久山町研究」によると、糖尿病(予備軍を含む)の人はそうでない人に比べて、アルツハイマーになるリスクが4.6倍になることがわかりました。
 アルツハイマーを引き起こすとされる物質はインスリン分解酵素によって分解されるのですが、糖尿病になるとその分解酵素が減るためにアルツハイマーになる率が高まると考えられています。

●がん

 同じく久山町研究によると、がんは糖尿病及び予備軍の人は3.1倍リスクが高まるという結果が出ています。従来から、糖尿病とがんの関係は指摘されていましたが、予想以上の数値で、糖尿病を軽視すると日本人が一番恐れる病気になる危険性が高まることがわかったのです。あなたの身の回りにも、糖尿病からがんになった方はいませんか?

●心筋梗塞と脳梗塞

 糖尿病は動脈硬化を進行させることがわかっていましたが、その結果、心筋梗塞や虚血性心疾患のリスクを2.1倍、また脳梗塞のリスクを1.9倍高めることが、やはり上記の久山町研究によって明らかになりました。

 以上のように、糖尿病はまさに万病の元と言われるほどほどやっかいな病気をたくさん引き起こす原因となっています。血糖値が高いだけでは何の症状もないので軽視しがちですが、すでに「糖尿病予備軍」になっていることに気付かない方も少なくありません。アルツハイマーやがんなどは、症状のない「糖尿病予備軍」の状態ですでに発病のリスクが高まっていますから、糖尿病の予防は特に大事です。

糖尿病の予防

 糖尿病の原因は何といっても肥満です。肥満を招いているのは食べ過ぎと運動不足です。肥満体に入っている人は、まずは肥満解消が第一優先です。歩くなどの軽い運動でよいのです。1日20〜30分の有酸素運動をしてください。できれば早歩きのほうが効果的です。運動は空腹時を避け、食後1時間後から始めます。

 それとともに食事をコントロールすることです。それにはいろいろ工夫が必要です。たとえば次のようなことはどうでしょうか。

 食べる前に体重を測る。
 多めの野菜を先に食べる。
 脂肪の多い食品は極力避ける。
 食事内容を記録する、または写真を撮る。
 砂糖や生クリームは避ける。
 ストレスを食事で解消しない。
 食事中にウーロン茶を飲む(血糖値を下げる効果も)。

 
 このほかに、食物繊維を多くとり、酒を飲み過ぎないことも大切です。

 なお、食事は1日3食とってよいのですが、ゆっくりとよく噛むこと、間食をしないことと、遅過ぎる夕食や夜食をとらないこと、などを心がけてください。

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