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偏食と食事の洋風化の問題

子供だけのものではなくなった偏食

 子供の頃はだれでも嫌いな食品がいくつかあったものです。ねぎやニンジンがその代表選手でしょうか。それでも、昔はしっかりとした食育教育を行なう親が多かったので、叱られながらいやいや食べたものです。優しい親なら、子供が食べられるように味付けを工夫するなどして、嫌いな食材をなくすよう努力しました。

 嫌われる食べ物は時代によって変わるようで、2005年5〜6月に実施された食品メーカー、 カゴメの調査によると、現代っ子の嫌いな食品のトップは群を抜いてピーマンだそうです。続いてねぎ、なす、しいたけ、きゅうり…という結果が出ましたが、ニンジンが入っていないのが不思議ですね。

 実はニンジンは3歳までは嫌われるのですが、その後に嫌いな子が減ってきて、成長とともについには好きな食品に転じているのです。子供の大好物のカレーライスに使われる食材が、「好きな食べ物」になっているようです。

 ちなみに、1999年の調査では嫌いな食品の1位はセロリだったそうです。セロリが急に嫌われなくなった理由は不明ですが、あるいはセロリ自体が子供の食卓に出なくなったのかもしれません。

 二つ、三つの好き嫌いなら他の食品でカバーできますが、緑黄野菜の大半が嫌いということになると問題です。最近はおとなでも偏食をする人が増えてきたといわれます。子供時代の嫌いな食品はそのままおとなになっても受け継がれる傾向にあるのです。

 偏食は、単に嫌いなものを食べないということだけでなく、好きな食品に偏るということが問題です。現代の日本ではカレーライス、ハンバーグ、焼肉などの高カロリー食品が好まれる傾向があり、「野菜嫌い」とあわせて栄養バランスを崩す大きな原因となっています。

偏食が招きやすい栄養素不足

 偏食で最も多いのが「野菜嫌い」で、ほぼ同義語といってもいいくらいです。野菜の中でも特に緑黄野菜が嫌われる傾向が強いようですが、その中にはβ-カロテン(ビタミンA)、ビタミンCをはじめ、多くのミネラルが含まれています。

 野菜不足を補うため近年はビタミンなどのサプリメントが人気を集めています。しかし、サプリメントは食品にくらべて吸収率が低く、所要量が確実に摂取されるとは限りません。またミネラルなどの微量栄養素が摂取できないとか、ときにはビタミン・ミネラルの過剰摂取も心配されます。サプリメントに頼った食事は、偏食をさらに拡大することにもつながります。

 偏食で心配されるのはそれだけではありません。乳製品や小魚を十分に摂らないと、カルシウム不足になって骨が弱くなりますし、ビタミンDやマグネシウム不足も骨に影響します。

 嫌いなものを避け、好きなものばかり食べていたら、栄養のバランスは大きく崩れ、長い間には体の変調を来たします。食育が必要のは子供だけではないようです。

食事の洋風化=肉類・乳製品・油脂類の過剰摂取

 米の消費量は60年前に比べて半減しています。ご飯とならんでパンが日本人の主食となり、肉の消費量は十数倍にもなりました。食事の洋風化を裏付ける数字です。

 日本人の食事が洋風化した理由はいろいろ考えられますが、出発点は第二次世界大戦後の国土の荒廃が招いた食料不足です。アメリカからの小麦などの食糧援助が、それまでの日本人にないパン食をもたらしました。

 さらに当時は欧米から来るものは何でも「文化的に進んでいる」とする風潮があり、洋風の食事も進歩的であるいうことで歓迎されました。さらに、子供の栄養改善を目的として始まった学校給食で、パン食が一般に定着するに至りました。

 奇跡ともいわれた高度経済成長を遂げると、日本人の食卓に多くの肉が入り、洋風の食事はもはや「ぜいたく」ではなくなりました。それまで日本人が口にすることが少なかった肉類や牛乳、油脂類を多く摂取することになり、日本人の体格は急激に向上しました。

 特に平均身長の伸びは著しく、1980年頃には男性が約170cm、女性も約158cmまでになりました。その後、身長の伸びは止まりましたが、洋風の食事が日本人の体格の向上に大きく貢献したことは確かです。現在も残る各世代間の平均身長の差は、まさに食事を中心とした生活の洋風化の歴史そのものだといえるでしょう。

洋風化で増えた大腸ガンと心臓病

 食事の洋風化はいいことばかりではありません。むしろ健康という観点からは悪いことのほうが多いようです。

 ご飯中心の日本型食生活は、エネルギーを糖質(炭水化物)から多くとり、脂質やたんぱく質との栄養バランスが取れています。しかし洋風の食事では脂質の摂取量が多くなり、かつて日本人には少なかった心臓病や大腸ガンを増やすことになりました。

 長い歴史の中で肉食の習慣がなかった日本人は、動物性たんぱく質を分解する能力が劣っており、また穀類を多く摂るために腸が長くなっています。そのため、未消化の動物性たんぱく質が腸内に残り、負担をかけるようになったことが、大腸ガン増加の一因とされます。

 また、乳がんの増加も、食事の洋風化に伴う体格やホルモン環境の向上に原因があると考えられています。

 日本人の血液は近年、「どろどろ化」しつつあるといわれます。この状態が長年続くと、やがて血管の狭窄や梗塞などを招くことになります。洋食は高カロリー、高脂肪を摂りやすく、肥満になるばかりでなく、コレステロール値や中性脂肪、血糖値などを上昇させ、生活習慣病の原因となります。そうしたことから最近は、ご飯(主食)+副菜という日本型の料理が見直されています。

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