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フード・マイレージと地産地消と野菜

フード・マイレージとは?

 食糧問題に関連して、フード・マイレージという耳慣れない言葉が時々登場しますが、ご存知でしょうか? 

 フードマイレージ(food mileage)は文字通り、食料の輸送距離 (mileage)という意味で、食料輸送に伴う環境負荷を低減させていこうという考え方から生まれた指標です。農林水産省の農林水産政策研究所が音頭をとったものですが、その根底にあるものは、食糧の輸送によって排出される二酸化炭素を低減させようという考え方です。

 フード・マイレージの計算方法は次のように簡単なものです。

  「食料の輸送量」×「輸送距離」=フード・マイレージ(t・km)

 フード・マイレージの数値が低いほど、環境への負荷が少ないと評価されます。

食糧の自給率が低い日本

 食糧の多くを輸入に頼っている日本はとび抜けてフード・マイレージの数値が高く、食糧における二酸化炭素問題は、自給率との関連で論じられることが多いようです。

 日本の食糧自給率はカロリー・ベースで4割程度ですので、食糧安全保障の観点からも大丈夫かという不安がつきまといます。また、食品の安全性という観点から、食料の自給率の低さを問題視する識者も少なからずいます。世界全体が食料不足になったら、輸出してくれる国はあるのか? といった危惧も完全には拭い去れません。

 だから、国産の食料品をもっと食べよう。それも長距離輸送に伴う二酸化炭素の排出を抑える意味で、できるだけ地元の食料を食べよう、ということになるわけです。

地産地消という考え方

 地産地消というのはフード・マイレージの理念から、「食料品は生産地と消費地がより近いほうが好ましいと」とする考え方です。「地元で採れた食糧は、できるだけ地元で消費する」という考え方は、新鮮な食材が食べられて、しかも地球環境にもやさしく、食料の自給率の向上にもつながるという意味で、“一石三鳥”の切り札といえそうです。

 確かに、食のグローバル化が進む中で、その地域独特の旬の食材を使った伝統料理や新しい創作料理を楽しむことは意義深いことかもしれません。

食糧問題と農業問題

 ここまでは、フード・マイレージと地産地消のよい面のみを紹介してきました。しかし、もろ手を挙げてそれに飛びつくには、いくつかの問題点もあるようです。

 日本の食料自給率がカロリー・ベースで低く、フード・マイレージが際立って高くなっているのは、アメリカ大陸から多く輸入するとうもろこしなどの飼料穀物や、大豆、菜種などの油糧種子が大きな部分を占めるからです。これらは、どんなに高い輸送費を支払っても、国産より安く、大量に手に入ります。国産の高い穀物を買えとは、それを加工して販売する企業はもちろんのこと、消費者にも言えません。

 だから、地産地消を勧めるだけでなく、国内の生産者が価格面で太刀打ちできるような農業政策を打ち出すことが重要な課題となってきます。しかし、その点で日本はまだ有望な方向性を見出せないようです。税金を農業生産者にばらまく従来型の政策では解決になりません。

 なお、食糧安全保障の観点から自給率の向上を唱えることに対しては、異論を唱える人も少なくありません。そもそも日本は戦争を放棄したのではなかったのか? まあ、戦争までは想定していないのかもしれませんが、仮に関係が悪化して食糧を輸出してくれない国が現れたとしても、輸入国を分散しておけば、リスクを回避することができます。日本との貿易が急激に減れば、相手国にとってもダメージがないはずがありません。

 農業生産物を含む貿易や経済のグローバル化は、今後ますます進んでいくでしょう。もはや時計の針を戻すことは不可能です。食糧の自給率が低いことが絶対的に悪いことなのか、他のジャンルも含めて総合的にじっくりと議論していく必要はあるでしょう。

野菜の地産地消について

 さて、フード・マイレージと地産地消は、二酸化炭素の排出という観点からは一理ないこともありませんが、農業の振興という面では限界もありました。しかし、野菜に限っていえばどうでしょうか?

 もぎたてのトマトやキュウリなどをその場で食べたことがある方はご存知だと思いますが、何もつけないでそのままでとてもおいしいものです。野菜は新鮮であればあるほどおいしいのですが、それだけでなく栄養価も日にちが経ったものに比べてかなり高いことが知られています。

 また、旬の野菜は他の季節に採れた同じ種類の野菜に比べて、やはりおいしさや栄養価が勝っています。しかも、野菜は旬のもののほうがたくさん採れて安い。まさにいいことずくめです。野菜と魚は、新鮮であることに最高の付加価値があるのです。
 参考 旬の野菜と栄養価

 地産地消という言葉は、まさに旬の野菜を地元で消費するためにある言葉だといってもよいでしょう。もちろん、旬の近海魚なども地産地消の対象です。

農協、セリなどを通さない野菜の流通

 最後に、野菜の流通問題についても知っておきましょう。農家で収穫された野菜が私たちの手に届くまでに、通常は次のような経路をたどります。

 「農家」→「農協」→「市場でのセリ」→「卸業者」→「スーパーまたは八百屋」

 矢印(→)には「輸送」も含まれます。この間、保冷施設での保管も入りますから、畑から店頭まで3日から5日程度かかるようです。店頭に並んですぐに買っても、地元産のもの以外は「新鮮な野菜」とはいえないようです。

 そこで最近は、「農協」と「セリ」「卸業者」という経路を通さない販売経路を模索する生産者も、少しずつ増えてきました。「宅配」や「直売所」という形式です。これによって畑から台所に届くまでの日数が、1日〜2日は縮まります。また、スーパーなどが生産者と直接取引きする場合も同様です。流通経路の簡素化によって、栄養豊富でおいしい野菜が安く手に入るシステムがちらほらとできつつあります。

 そうした試みが徐々に拡大する中で、農業生産者自身が営業的なノウハウを獲得し、販売力を身につけたり、他業種から農業へ参入したりする可能性が広がるでしょう。それは消費者にとっても喜ばしいことですが、前提として生産コストの大幅ダウンなどを含めて、従来の仕組を変える政治が必要になってきます。そして、抜本的な改革は常に“既得権の見直し”という難題を伴います。

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