生活習慣病の原因と予防法
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世代別の食生活のポイント

  幼児期  学童期  青年期(思春期)  成年期・壮年期  老年期

 幼児期から青年期をへて老年期まで、各世代ごとの食生活のポイントをまとめました。

幼児期の食事

 離乳食が終わってから学童になるまでの期間を幼児期といいます。離乳食時代に大切なことは、多種類の食品を与えることです。この時期の食事内容によっては、緑黄色野菜や魚などが嫌いな子供を作ってしまうことになります。

 続く幼児期は偏食を起こしやすい時期で、両親が子供の好き嫌いに悩まされる時期でもあります。また、栄養や健康についての教育や、しつけ、社会性などを身につけるうえでも重要な時期です。特に食生活の基本はこの時期に形成され、一生を決定づけるといっても過言ではありませんから、しつけを含めた十分な食育が大切です。

 幼児期にはさまざまな食材や味つけに慣れさせましょう。いわゆる「食べず嫌い」を生むのもこの時期です。嫌いな野菜は小さく刻んで味つけを工夫するなどして、無理強いをせず自然に食べるようにします。昔の子供の嫌いなものといえば「にんじん」と相場が決まっていましたが、今の子供たちではむしろ好きな食べ物の中ににんじんが登場してきます。カレーライスが大好物だからです。

 子供の頃から薄味に慣れさせておくことも大切です。特に甘いものやしょっぱいものに対して、濃い味でないと満足しなくなると、おとなになってから甘いもののとり過ぎや塩分のとり過ぎになりやすくなります。生活習慣病を招く生活習慣は幼児期からすでに作られているのです。

 幼児期の栄養素で特に大切なのは良質のたんぱく質です。ただし、脂肪の多い肉類に偏らないように注意し、魚や大豆製品も十分に摂るようにします。和風の食事を嫌いにさせないように、献立を工夫することも大切です。また発育盛りのこの時期には十分なカルシウムをとるため、牛乳や乳製品も欠かせません。もちろん緑黄色野菜や果物などもとり、バランスにも考慮します。

 おやつは子供にとって楽しいものであるばかりでなく、成長期のエネルギー不足を補うものでもあります。できるだけ家族そろって楽しむようにすると、子供の心の豊かさにもつながります。特に手作りのおやつは子供の情操によいようです。

 子供が興味を持ったら、簡単な調理や食卓の準備、後片付けなどを手伝ってもらうようにします。「料理は女の仕事」というイメージを植えつけないような配慮も必要です。

学童期の食事

 小学生を学童といいます。ちなみに中・高校生は生徒、それ以上を学生といいます。
 食生活の基礎が完成するのは学童期で、その後に改善するには相当の努力が必要になりますから、小学生を持つ親は正しい食生活を身につけさせるようにしてください。

 この時期は幼児期にくらべて手がかからなくなりますから、かえってインスタント食品や菓子パン、スナック類、ファストフードなどを与えるなど、子供の食事に手を抜きがちになります。仕事をもつ母親も多く、自然とパック詰め惣菜などの加工食品も増えてきます。ある程度はやむをえないのかもしれませんが、子供の健康面と、将来の食生活習慣の面から、やはりバランスのとれた食事を心がけ、家族全員がいっしょに食卓を囲む機会を増やすようにしましょう。

 高学年になると子供は何でもできるようになります。教えれば大人顔負けの料理を作れる子も出てきます。子供扱いしないでどんどん料理に参加してもらいましょう。それには両親が料理作りを心から楽しみ、食文化を伝える気持ちをもたなければなりません。子供への食育は、実はおとな自身の問題でもあるのです。

 そのほか学童期に注意することは、体の成長が早く、運動量も増えてきますから、それに合わせて栄養量の摂取を心がけることです。成長期における朝食の欠食が増えているようですが、その分、間食や夜食をとることになり、不規則な生活を招いて体内時計を狂わせることにもなります。逆に、不規則な生活だから朝食抜きになるのかもしれませんが、この悪循環を断ち切ることが大切です。

 子供の好きなものばかり与えていると、栄養が偏ります。脂質や糖質のとり過ぎから肥満を招くことも多く、またカルシウム不足にもなりやすいので注意しましょう。

 最近、やわらかいものばかり食べているためか、子供の噛む力が低下し、あごの発達にも影響しています。硬いものも適度に食べさせることが大切です。

青年期(思春期)の食事

 中学生から高校生にかけてのいわゆる思春期は、おとなの体へと移行する大切な時期です。この時期に栄養の不足や偏りがあると、発育が抑制され、体格や健康面に悪影響を及ぼします。精神的にも自立していこうとする時期で、昔は「反抗期」などと呼ばれました。もはや親の管理は思うにまかせず、いまさら食事のしつけをしようとしても手遅れです。

 ただし、子供のように見えても理解力はかなり発達してきますから、感情的にならず冷静かつ理論的に話し合えば、道は開けるでしょう。

 中・高校生は塾通いも多くなり、ファストフードや外食の機会も増えます。家での食事が減るため、緑黄色野菜や果物などが少なくなり、ビタミン・ミネラル不足になりがちです。家の食事で意識的に補うことが大切です。また、学校給食のなくなる高校生は特にカルシウム不足にもなりやすいので、乳製品をとるように心がけます。

 最近、肥満傾向の中学生が増えているようです。糖質や脂質の多い間食や夜食が原因と考えられますが、食事のとり方と運動に気をつけることで徐々に改善していくようにします。こまめに体重計に乗ることが、体重管理の基本です。

 子供の肥満が増える一方で、女子高校生のやせも増えています。標準の体重なのに「太っている」と思っている人、あるいはやせているのに「標準の体型」と思っている人が増加しているという統計があります。必要のないダイエットは女性の場合、鉄欠乏性貧血を招きやすく、ときには栄養失調になることもあります。また、そうしたダイエットは将来、拒食症などの摂食障害に発展するおそれもあり、注意が必要です。

成年期・壮年期の食事

 社会で働くようになると、外食や中食の利用が増えます。高校・大学時代にスポーツをやっていた人でも、できなくなるのがふつうです。そのうえ、残業が多い人は夕食が不規則になります。人によっては喫煙の習慣もつきます。サラリーマンの場合、30代になるとストレスも激増し、それは定年まで続きます。飲酒の量も多くなるでしょう。

 つまり、社会人になったとたんに生活習慣病の原因となることがどっと増えるわけです。生活習慣病のほとんどは初期には自覚症状がありませんから、40代まではたいていの人がぴんぴんしています。しかし、「病気」は20代から少しずつ進行しているのです。

 成年期・壮年期の食事は、まさに生活習慣病対策を中心に考えていかなければなりません。そのためには五大栄養素のバランスを取り、減塩、減脂肪に心がけ、抗酸化食品や免疫を高める食品をとるようにします。つまり、この講座で学んできたことを実践することです。

老年期の食事

 高齢者(老人)は、法律上は65歳以上ということになりますが、そう思っている「老人」は少ないのではないでしょうか。同じ年齢でも老化の程度にはかなりの個人差がありますし、平均寿命の延びもあります。一般的には70〜75歳くらいが、「主観的な老年期の始まり」といえるかもしれません。

 それはともかく、老年期に入ると壮年期にくらべて気力や体力が衰えるのがふつうです。また、虫歯や歯周病で歯がだんだんなくなっていきます。そのため食物を十分に噛む能力が衰えるので、唾液の分泌が悪くなって胃に負担をかけます。胃液の分泌も低下して消化能力が衰えますから、下痢になりやすくなります。一方では、腹筋の筋力の低下などによって便秘にもなりやすくなります。

 また、加齢による消化・吸収機能の衰えは、各種栄養素の不足も招きます。たんぱく質やビタミン、ミネラルの必要量は若いときと変らないので、アミノ酸スコアの高い良質のたんぱく質と野菜、果物をしっかり食べることが大切です。

 高齢者が日常生活で気をつけなければならないのは骨折です。特に骨粗しょう症になると家の中で転んでも骨折し、寝たきりになって別の病気を誘発するといったことがよくあります。高齢になるとカルシウムが骨から抜けて骨折しやすくなります。カルシウムを十分にとり、体力に見合った運動を続けることが大切です。

 なお、一般の常識と違うようですが、一人暮らしの高齢者のほうが家族と暮らしている高齢者よりも元気で、自殺率も低いという傾向があるようです。1人暮らしの高齢者は自立しており、買い物や掃除、洗濯、炊事を自分でやっているためだと考えられています。バランスのとれた食事はもちろん大切ですが、それだけでなく体を動かし、いつまでも働くことが健康長寿の秘訣のようです。

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