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粗食考―玄米と発芽玄米

粗食をめぐって

 昔は、粗食といえば文字通り粗末な食べ物、栄養価も低く量も少ない質素な食べ物のことをいいました。しかし、戦後の経済の発展によって豊かになった日本では、もはや昔の「粗食」をイメージできる人は少なくなりました。一方、飽食の時代への反省や、玄米やそのほかの穀類の栄養価の見直しなどもあって、「粗食」はイメージチェンジしてよみがえりました。

 現代の粗食は主に二つの意味で使われています。そのひとつはかつての「自然食」の流れをくむもので、「昔ながらの日本の食べ物は自然だから体にいいんだ」という考え方です。玄米、豆腐、ごま、さばなどの食品がもてはやされ、極端な場合はほとんど信仰に近い気持ちで特定の食材に固執する傾向があります。無添加、無農薬なら何でも体にいいとばかり、栄養バランスを無視して多食する人もいます。

 もうひとつの粗食は昔の意味に近く、粗末な食べ物、手抜きをした食べ物という意味で使われます。たとえばインスタント・ラーメンとかお茶漬け、おにぎり、そうめん、スナック菓子のようなものです。

 いずれの場合も、動物性のたんぱく質をとらず、「粗食をすればやせる」とばかり食べまくり、逆効果になるケースが多いようです。たんぱく質不足は筋肉を落とすことになり、基礎代謝エネルギーが下がって、皮下脂肪を燃やす必要がなくなってしまうのです。これが粗食で太るパターンです。

 まずはこうした誤った粗食のイメージを払拭してください。粗食を再評価するのであれば、脂肪の多い肉類を少なめにし、和食中心の献立にすることと、摂取カロリーを少なくすることを心がけてください。それが現代版粗食のあり方で、たんぱく質を軽視したバランスの悪い献立や、同じものを継続してたくさん食べる食べ方は、粗食とはいえません。

 特に基礎代謝の落ちている高齢者は、全体の摂取エネルギーは肥満予防のため控えめにするのはよいとして、たんぱく質だけは控えめにしないことです。ますます筋力が衰えるばかりでなく、感染症などへの抵抗力も落ちます。

玄米は栄養の宝庫か?

玄米がいいとされる理由

 白米は、おいしさや食べやすさと引き換えに、お米の最も栄養価の高い胚芽部を捨てています。玄米は胚芽部を残すため、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEのほか各種ミネラルを豊富に含んでいます。白米と比較すると、ビタミンB1が8倍、マグネシウム7倍、鉄4.5倍、ビタミンE2.5倍、カルシウム2倍強などとなっています。そのため、粗食でも十分に栄養がとれるとされます。

 また食物繊維も豊富で、白米の約5倍も含まれます。そのため、便秘を解消し、脂肪の吸収を抑制するので、肥満を防ぎ、美容にもよいとされます。

 玄米の胚芽には抗がん物質のフィチン酸があるので、がんの防止に有効であるばかりでなく、化学物質を解毒して体外へ排出するとされます。

 玄米信奉者の中には、「日本人は白米を食べるようになってから背が小さくなった」とか、「玄米さえ食べていれば、栄養は満点」、「玄米食に切り替えれば難病も治る」といった根拠のない極論を述べる人もいて、かえって玄米のよさが理解されない面もあります。

消化・吸収の悪さが欠点

 玄米より白米のほうがおいしいという人は圧倒的に多いでしょう。そのうえ玄米は硬くて、よく噛まないと消化に悪い。しかも、玄米は炊くのにも時間がかかります。これが玄米食の普及しない主な理由のようですが、問題はそれだけではありません。

 玄米の長所である「食物繊維が多い」ということが逆に短所にもなっているのです。近年は何かというと食物繊維を多くとることが推奨されますが、食物繊維は必要な栄養素もいっしょに体外に排出しますから、やせている人や胃腸の悪い人、病気の人はむしろとり過ぎに注意しなければなりません。

 そのうえ、玄米にはフィチン酸が含まれているため、ミネラルの吸収がさらに悪くなります。これはフィチン酸が鉄、カルシウム、マグネシウムなどと結合してフィチン酸塩を作り、腸からの吸収が阻害されるからです。そのため、せっかくミネラルが多く含まれていても、かえって白米よりも吸収が少ないものもあるのです。

 また、玄米だけではたんぱく質や必須脂肪酸、ビタミンC、ビタミンDをはじめ、微量元素が不足することになり、粗食では栄養失調になるおそれさえあります。

 食物アレルギーのある人は、玄米食は要注意です。米の表面に多く存在する米グロブリンなどのたんぱく質がアレルゲンになることがあるからです。

 結論として、玄米を食べるときは栄養価を過大評価せず、動物性たんぱく質や野菜類を十分にとることが大切です。また、白米を食べるときは失われたビタミンB1の補給を念頭におきましょう。

発芽玄米とGABAの働き

 江戸中期までの日本人は玄米を食べていました。しかし白米の手軽さやふっくらしたおいしさに押され、玄米を食べる習慣はなくなってしまいました。ところが近年、玄米以上に栄養価が高いということで発芽玄米が見直され、にわかに脚光を浴びてきました。

 発芽玄米は玄米が0.5〜1o芽を出したもので、玄米中の有効成分が増え、胚芽の部分にガンマーアミノ酪酸(GABA)が蓄積される、その微妙な時期の状態をキープすることが可能になったのです。発芽玄米は玄米のように硬くないので、白米と混ぜて炊くことができます。

 発芽玄米は白米とくらべて、ビタミンB1とE=5.0倍、食物繊維=5.2倍、マグネシウム=4.6倍、ガンマーアミノ酪酸=約20倍などとなっています(=あきたこまちの場合/発芽玄米は日本食品分析センター、ガンマーアミノ酪酸のみ秋田県総合保険事業団調べ)

 発芽玄米で最も注目されるのは、先ほどから名前だけは登場しているガンマーアミノ酪酸(GABA)です。通称ギャバと呼ばれるこのアミノ酸は、血流を活発化し、代謝機能を促進する働きがあります。具体的には、血圧を下げる、中性脂肪を抑制する、神経を鎮静化する、などの効果が期待されています。

 また、発芽玄米に多いフェルラ酸トコトリエール抗酸化作用があるとされています。

 発芽玄米を白米に混ぜて炊けばおいしさは変わらず、玄米の最大の欠点でもあった「食物繊維が多い」ということもないので、栄養素が体外に排出されるということもありません。調理前の栄養素の含有比率以上に、発芽玄米の実質的な栄養価値は高いといえるでしょう。

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