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禁煙のススメA 喫煙派とニコチン依存症

喫煙の動機を考える

 現在たばこを吸っている中高年は、たばこの害がほとんど知られていない時代に喫煙を始めた人たちです。完全に習慣化してしまうと、健康に悪いと知ってもなかなかやめられないのが喫煙です。しかし中には、自分の意思の力だけで禁煙に成功している人もいます。理性によってこの悪しき習慣がやめられるレベルにある方のために、健康への害以外の面、喫煙の動機についての心理的な面を考えてみるのも無駄にはならないでしょう。たばこを吸い始めたきっかけは、次の5項目に集約されます。

@大人の気分になるから(背伸び
Aタバコを吸うしぐさがかっこいいから(格好つけ、気取り
B周りがみんな吸っているから(付和雷同
C子供(=ひよこ、ガキ)に見られたくないから(自信の欠如
D仕事のできる女(男)に見えたいから(見栄、競争心

 共通しているのは「喫煙がかっこいい」と感じていることです。映画の1シーンなどで主演男優が渋い表情で一服するのは、確かに昔は絵になりました。しかし、今や「喫煙はかっこ悪い」というイメージのほうが強いのではないでしょうか。欧米では喫煙者は「自己管理もできない人」という烙印を押されかねない行為になります。

 「たばこを吸う姿は格好いい」という錯覚のために、自分や家族の健康を害するのはばかばかしいことだと考えましょう。喫煙はみっともないと考えるだけでも、何がしかの効果はあるかもしれません。

たばこをやめない言い訳

 たばこをやめない人の中には、自分をニコチン依存症(ニコチン中毒者)だと認めたがらず、あたかも「自分の意思でやめないのだ」ということを示したがる人が多いようです。たばこをやめない理由の主なものを次に掲げます。

@会話に間が持てない
Aストレスの解消になる
Bタバコがないとくちびるや指がさみしくなる
C呼吸を整え、気分転換になる
Dやめると食事がおいしくて太ってしまいそう
Eいつでもやめられるから依存症ではない

 たばこの有用性を無理やりひねり出している感がありますが、どれもたばこ以外のものでは代用が利かないと思いこもうとしています。

 その中で「ストレスの解消になる」という言い訳は最も「強敵」で、本人ばかりか聞くほうも納得してしまいそうです。しかし、喫煙者が解消しているストレスは「たばこを我慢していた」ストレスに過ぎないのではないでしょうか。たばこに関係しないストレスが喫煙によって解消されるとは、専門家は考えていません。日常のストレス解消の方法はいろいろあるはずです。まずは禁煙できない言い訳を断ち、依存症であることを認めることが健康への第一歩です

やめようとは思わない居直り派

 日本たばこ産業の調査によると、2009年には全国の喫煙者は男性38.9%、女性11.9%で、毎年減少し続けているそうです。特に男性の喫煙率は、1992年の61.2%から18年連続減少しています。しかし、欧米の成人男性の喫煙率は、米国が19.1%、スウェーデンが13.9%(WHO・2007年調査)と半分以下ですから、先進国では日本は異常に高い喫煙率といえそうです。なお、喫煙者の中には「時々吸う」という人も含まれるため、まだまだ「治療」なしでも喫煙者の数を減らすことはできそうです。

 さて、喫煙者に禁煙を勧めるうえで、もうひとつ越えなければならないハードルがあります。それは「たばこをやめようとは思わない」という居直りです。

@禁煙してまで長生きしようとは思わない
A禁煙なんかできるわけがない
B喫煙していても私は健康だから大丈夫


 以上の3つもよく聞かれる言葉です。順番に論破していきましょう。

 「長生きしようとは思わない」という台詞は若い人ほどよく使います。死が現実問題として実感できないからでしょう。あるいは自分の死を悲しむ人のことに考えが至らないのかもしれません。死は突然来るのではなく、その前に長い闘病生活があります。特に喫煙が招きやすい脳梗塞は、介護者のお世話になります。「寝たきりになるくらいなら早く死んだほうがまし」と思っていても、現実は容赦なくそういう人をも「寝たきり」にさせてしまいます。

 次に「禁煙なんかできるわけがない」ですが、これは素直な居直りです。そのとおり、ニコチン依存症は「病気」ですから、もはや意志の強さをうんぬんする段階ではありません。禁煙治療をしている病院で、まずは禁煙カウンセリングを受けましょう。

 3番目の「喫煙していても健康だ」という人には、生活習慣病というものを正しく理解してもらう必要があります。糖尿病や狭心症、脳梗塞などは症状が出てからでは手遅れです。動脈硬化は20年、30年とかけて「完成」されます。健康だという過信がすでに危ないのです。定期健診を受けていれば、40歳過ぎの人ならほとんどの人が東洋医学でいう未病のはずです。

喫煙習慣は身体的依存と心理的依存による「病気」

 たばこをやめようとしてもやめられないのは、意思の弱さや自己管理能力の欠如によるものではなく、すでに依存症という病気に入っているからです。特にニコチンは、アルコール依存や薬物依存と同様に、血液中に一定のニコチン濃度がないと心身が落ち着かない身体的な依存症ですから、意志の力だけで脱却するのは難しいのです。

 また仕事や会合など、ある行動の節目にたばこを吸いたくなるのは、心理的な依存であり、心と体の両面から禁煙対策をしないとこの「病気」は克服できません。

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