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ストレスと免疫力の低下

「病は気から」の意味するもの

 ストレスは単にいやなことがあったということだけでなく、生活上の大きな変化や新たな事態に対して適応しようとして、精神的なエネルギーを使うために生じます。過去の経験や知識では対処できないときに、助けてくれる人がいなかったり、お金で解決できなかったりすると、より大きなストレスとなるわけです。その意味でストレスは避けられないばかりか、適度のストレスは人を成長させるともいえます。

 しかし、ストレスに対してあまりにも無防備であったり、対処法を誤ったりすると、強いストレスになり、さらにそれが長く続くと心身に重大な影響が生まれることはすでに述べたとおりです。昔から「病は気から」と言われますが、これはマイナス思考よりもプラス思考、悲観主義よりも楽観主義、せっかちよりものんびり、物事にこだわるよりもこだわらない生き方、攻撃的性格よりもおおらかな性格のほうが病気になりにくい、ということを意味しているといってよいでしょう。

 なぜ「気持ちのありよう」が病気に関係するかということが、科学的にわかってきたのは最近のことです。ストレスと免疫力の関係が徐々に解明されることによって、経験的に言われてきた「病は気から」の正しさが証明されつつあるのです。

免疫機能を低下させるストレス

 免疫とは、ヒトに本来備わっている自分自身の力で病気を防ぎ、あるいは治す仕組みのことです。私たちの身の回りにはいたるところに細菌やウイルスがあふれていますが、ふだんは何ともありません。しかし、免疫力が下がると風邪をはじめさまざまな病気にかかることが多くなります。特に体の冷えや水分不足、筋肉疲労など物理的ストレスは免疫力を奪いますが、それとともに精神的なストレスも免疫力を低下させる原因になることがわかってきました。

 ストレスが免疫機能を低下させる仕組みとしては、自律神経のバランスが崩れることと、ステロイドホルモンの放出が考えられています。

●自律神経のバランスの乱れ

 強いストレスを受けると、まず自律神経のバランスが崩れます。内蔵機能を活性化させる副交感神経が不活発になるため、食欲不振と血行不良を招きます。その結果栄養バランスが悪くなり、免疫機能の主役であるリンパ球を不活発にします。

●ステロイドホルモン放出

 ストレスの刺激は視床下部から副腎に伝わって、コルチゾールなどのステロイドホルモンを放出します。コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、リンパ球の活力を奪って、免疫力を低下させます。

がんと免疫力とストレス

 免疫力はウイルスなどの感染症だけでなく、がんにも大きく関与しています。最近はがんの治療において、免疫力を高める治療法が効果を上げていますが、免疫力はまさに人の生死を分ける時代のキーワードとなっています。

 がんと免疫力、そしてストレスを結ぶことになった有名な事件に、若王子さん誘拐事件があります。1986年11月に、三井物産マニラ支店長だった若王子信行さんがフィリピンで5人組の武装グループに誘拐され、身代金を要求されました。4ヶ月半の監禁生活の末、若王子さんは無事救出されましたが、その後2年足らずの間にがんになって亡くなってしまったのです。帰国後の精密検査では何ともなかったにもかかわらずです。55歳の若さで若王子さんの命を奪ったのは、過酷な状況下での強烈なストレスによる免疫機能の低下だと考えられています。

 では、がんと免疫力の関係はどうなっているのでしょうか?
 体内でがん細胞と戦うリンパ球にナチュラル・キラー細胞(NK細胞)というものがあります。NK細胞はがん細胞に接触すると、がん細胞の膜に穴を開けて水と塩分を流入させ、がん細胞を殺してしまいます。しかし、強いストレスが加わると、このNK細胞の数が減少するため、がんに対する免疫力は衰えることになります。

 NK細胞以外の、がん細胞を殺す力をもった細胞にキラーT細胞LAK細胞がありますが、T細胞の一種であるキラーT細胞はヘルパーT細胞の助けを得て、がん細胞を死滅させます。このT細胞も強いストレスによって数が低下することが分かってきました。

 ただし、ストレスを受けるとなぜNK細胞やT細胞が減少するのか、そのメカニズムまでは現段階ではわかっていません。

 なお、循環器系の病気とA型性格との関係のように、がんにもなりやすい性格があるのかという問題があります。当然、そうした研究は日本でもアメリカでもなされていますが、まだはっきりとした結論は出ていないようです。   A型性格とは

 とはいっても、がん患者の性格の特色を表わす「タイプC」というものが提唱はされています。C型行動パターンは、一見B型タイプに似ているが、怒りや悲しみなどを強く打ちに秘めて、感情を表わさないタイプだとしています。

 実際、がんの治療に現場においては、患者が抑うつ状態になると免疫機能の低下が見られ、がんの進行に関与するといわれています。しかし、がんの発症と性格との関係はまだはっきりしたことはいえず、これからの研究を待ったほうがよいでしょう。

免疫の異常はあらゆる病気に関与

 免疫機能の低下は、食生活の乱れや汚染物質、肥満、疲労、肉体的ストレス、精神的なストレス、老化などによって生じ、ほとんどの病気がかかわります。

 免疫機能の低下によるものではない病気としては、免疫力が強くて過剰反応を起こす食物アレルギー花粉症などのアレルギー疾患があります。これもストレスが何らかの形で関与しているといわれます。

 また、自分自身に対して抗体を作ってしまう自己免疫疾患のひとつに、慢性関節リウマチがあります。慢性関節リウマチは遺伝的な要素の強い疾患ですが、やはりストレスが関与しているといわれています。あらゆる病気に、何らかの免疫的な異常がからんでいるといっても過言ではないでしょう。

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